
最初は、自分のことで精一杯だった
「何のために仕事をするのか?」
以前の僕は、あまり深く考えていなかったように思います。
もちろん、お客様の役に立ちたい、喜んでもらいたいという気持ちはありました。せっかく依頼していただいたからには期待に応えたいし、「お願いしてよかった」と思ってもらえる仕事をしたい。それは昔から変わりません。
ただ、個人事業主として仕事を始めた頃は、もっと目の前のことで精一杯でした。
仕事をいただいて、売上をつくって、生活費を稼ぐ。家族との生活を守るためにも、まずは自分の事業を続けていかなければならない。
当時、「なぜ仕事をするのか」と聞かれたら、「生活するため」というのが大きな答えの一つだったと思います。
それは今も変わりません。
でも、仕事を続けていくなかで、それだけではない「仕事をする意味」が少しずつ見えるようになってきました。
単純に、今の仕事が好き
もう一つ、ずっと変わっていない理由があります。
単純に、今の仕事が好きです。
人の話を聞きながら、「この会社の良さって、ここなんじゃないか」と考えること。本人にとっては当たり前になっている強みや、まだ言葉になっていない想いを整理すること。
そして、それを文章やデザイン、Webサイトという目に見えるカタチにしていくこと。
大変なこともありますが、この仕事そのものが面白いと思っています。
さらに、自分が考えて作ったものをお客様に喜んでもらえたり、それによって問い合わせが増えたり、事業が少し前に進んだりする。
自分の好きな仕事が、誰かの役に立つ。
それも、僕がこの仕事を続けている大きな理由の一つです。
自分の仕事の「その先」を考えるようになった
小島喜画としてさまざまな仕事を経験し、長くお付き合いするお客様が増えてくると、少しずつ考え方が変わってきました。
以前は「Webサイトを作る」「デザインで課題を解決する」「お客様に喜んでもらう」というところまでが、自分の仕事だと思っていたような気がします。
でも、本当はその先があります。
例えば、小島喜画がWebサイトを改善したことで、ある会社の問い合わせが増えたとします。
売上が増え、利益が残れば、新しい設備を導入するかもしれません。誰かに仕事を発注するかもしれないし、新しい人を採用するかもしれない。
そこで働く人がいて、その先には家族もいます。
一つの会社が元気になることで、その周りにも少しずつ影響が広がっていく。
自分が作っているものの先には、思っていた以上にたくさんの人がいるのかもしれない。
そう考えるようになりました。
NAGAREYAMA F.C.との関わりから見えてきたこと
そのことを強く感じるようになったきっかけの一つが、NAGAREYAMA F.C.との関わりです。
クラブにはWebやデザインなど、自分ができることを通じて長く関わってきました。
クラブが成長すれば、応援する人が増える。スポンサーとして関わる企業が増える。地域に新しいつながりが生まれる。選手やスタッフにも新しい可能性が生まれる。
そして、選手たちの姿を見た子どもが、「自分もサッカー選手になりたい」「自分も何かに挑戦してみたい」と思うかもしれません。
僕自身が直接それらを生み出しているわけではありません。
それでも、自分の持っているWebやデザインの力を使ってクラブの成長に貢献できれば、その先に生まれるものにも、ほんの少し関われているのではないか。
そう思うと、自分の仕事に対する見え方が変わってきました。
「納税は最大の社会貢献」という言葉
以前、OWNDAYSの田中 修治さんが「納税は最大の社会貢献」と話しているのを聞いたことがあります。
すごく衝撃を受けたのですが、その真の意味は理解できていませんでした。
事業を続けていくなかで、その意味が少しずつ分かるようになってきました。
誰かに価値を提供し、その対価として売上をいただく。そこから利益を残し、税金を納める。その税金が社会を支えるために使われていく。
さらに事業が成長すれば、自分だけではできない仕事を誰かにお願いできます。いつか人を雇えるかもしれません。地域や、自分が応援したい活動に使えるお金も増えていきます。
そう考えると、事業を成長させることと、社会の役に立つことは別々ではありません。
むしろ、しっかり価値を提供して、しっかり利益を出すことも、社会に貢献する一つの方法なのだと思います。
カフェを始めて、もっと身近に感じるようになった
そして2026年6月、妻と一緒に「こじカフェ」を始めました。
カフェを始めたことで、仕事と社会とのつながりを、さらに身近に感じるようになりました。
Webの仕事は、パソコンに向かって作業をする時間も多く、自分の仕事が誰にどんな影響を与えているのか、すぐには見えないことがあります。
カフェでは、お客様の反応が目の前にあります。
コーヒーを飲みながら話をして、笑って帰っていく人がいる。近所の方が立ち寄ってくれる。以前から応援してくれている方が来てくれる。お客様同士で会話が始まることもあります。
一杯のコーヒーを提供するという、小さな仕事です。
それでも、その人にとって少し気持ちがほどける時間になったり、人と人がつながるきっかけになったりする。
仕事を通じて人の役に立つということは、もっと身近なものなのかもしれない。
カフェを始めて、そう感じるようになりました。
利益は「目的」ではなく、価値を循環させるために必要なもの
最近、商売について考えていて、もう一つ大切にしたいことがあります。
「どうすれば自分たちが儲かるか」から考えるのではなく、「どうすれば利用してくれる人にとって良くなるか」から考えることです。
お客様にとって便利になる。
楽しくなる。
困っていることが解決する。
事業が前に進む。
そのために自分たちができることを考え、その価値に対して対価をいただく。
その結果として利益が生まれる。
僕は、そんな順番でありたいと思っています。
もちろん、事業を続けるために利益は必要です。
でも、利益を得ることだけを目的にするのではなく、誰かに提供した価値の結果として利益が生まれ、その利益を使ってまた次の価値を生み出していく。
そんな循環をつくれたらと思っています。
振り返ると、「後から正解になった」ことばかりだった
僕は昔から、何かを始める前に考えすぎてしまうところがあります。
「本当にやる意味があるのか」
「この選択は正しいのか」
「ちゃんと成果につながるのか」
できるだけ正解を見つけてから、動きたいと思っていました。
だから、「とりあえず走り出して、後から正解にすればいい」というような考え方も、以前はあまり腑に落ちませんでした。
でも、今までの自分を振り返ってみると、不思議なことに、後から正解が見えてきたことばかりです。
NAGAREYAMA F.C.との関わりもそうです。
こじカフェもそうです。
そして、「小島喜画」という屋号もそうでした。
最初から、今のような意味をすべて考えて始めたわけではありません。
やってみて、人と出会って、続けていく。
そのなかで、新しい役割が生まれたり、自分自身の考え方が変わったりして、後から「やってきたことには、こんな意味があったのか」と気づく。
正解を見つけてから始めるのではなく、始めたものを大切に育てていくことで、後から自分なりの正解が見えてくることもある。
最近になって、ようやくその感覚が少し分かるようになりました。
「小島喜画」という名前も、後から意味が育ってきた
「小島喜画」という屋号にも、実は最初から立派な理念があったわけではありません。
普通の名前ではつまらないから、少し変わった名前にしたかった。
そして、祖父の名前が「喜平」だったことから、その「喜」という一文字をもらいました。
そこから「喜びを画く」という意味も持たせるようになりました。
最初から「世の中に喜びを生み出したい」と考えて付けた名前ではありません。
でも、今振り返ると、不思議と自分がやってきたことにつながっています。
好きな仕事をする。
お客様に喜んでもらう。
その会社やお店が成長する。
そこから新しい仕事や人とのつながりが生まれる。
地域の活動を応援する。
カフェという場所で、人が楽しく過ごす時間をつくる。
自分自身もしっかり利益を出し、納税する。
そうやって仕事を続けてきた結果、「喜びを画く」という言葉に、後から自分の仕事が重なってきました。
仕事をする理由が、少しずつ見えてきた
結局、僕が仕事をする理由は、一つではないのだと思います。
生活するため。
家族との暮らしを守るため。
今の仕事が好きだから。
お客様に喜んでもらいたいから。
自分の仕事を通じて、誰かの挑戦を支えたいから。
そして、その仕事から生まれた価値が、その人だけで終わらず、会社や家族、地域、さらにその先へと広がっていったら嬉しいから。
昔の僕は、仕事をする意味や、自分の事業が目指す場所にも「正解」が必要だと思っていたのかもしれません。
でも、今はまだ完成した答えがなくてもいいと思っています。
目の前の人にとって良いと思うことをやってみる。
自分が好きだと思える仕事をする。
誰かに価値を渡し、その対価をきちんといただく。
そして、自分たちが成長することで、また次の誰かに価値を返していく。
その積み重ねの先で、また新しい意味が見つかるかもしれません。
自分の好きな仕事で誰かの役に立ち、その喜びがまた次の誰かへつながっていく。
そんな循環を少しずつ大きくしていくこと。
今の僕にとっては、それが仕事をする理由なのだと思います。