
言いたいことがあるのに、うまく伝えられない。
特に周りの空気に押されたり、萎縮していたりすると、思っているように言葉が出てこない。最近、そんなふうに思うことが増えてきました。
昔は「不言実行」という言葉に、どこか「昭和の職人」的なかっこよさを感じていました。多くを語らず、行動で示す。そんな姿勢に憧れていた部分もあったと思います。
でも最近になって、少し見方が変わってきました。
もしかするとそれは、「自分の意見に自信がないことの裏返し」だったのではないか。反論されたり、笑われたり、バカにされたりすることを恐れていただけではないか。
そんなことを考えるようになりました。
営業が苦手、という言葉に逃げていた
2026年9月1日で、独立して丸6年になりました。
振り返ってみると、この6年間ずっと、
「営業が苦手」
「自己アピールが苦手」
「売り込むことに抵抗がある」
「断られるのが怖い」
そんなふうに理由をつけて、営業から逃げてきたように思います。
ありがたいことに、ご紹介や口コミでお仕事をいただけるようになり、ここまでなんとかやってくることができました。
でも、このままでは次のステージには上がれない。
最近になって、そんな感覚が強くなってきました。
そして少しずつ、自分の中の考え方も変わってきています。
以前は、
「自分を売り込むこと=でしゃばること、目立つこと、厚かましいこと、恥ずかしいこと」
という感覚がありました。
でも今は、
「自分を売り込むこと=誰かの役に立つこと」
に変わりつつあります。
自分が提供しているサービスに、本当に価値があると思っているなら、それを必要としている人に伝えることは、決して悪いことではない。
むしろ、伝えなければ存在しないのと同じです。
ようやく、その考えが自分の中で少しずつ腑に落ちてきました。
伝えようとすると、うまく言葉が出てこない
そんな流れもあって、最近は自分の考えや、自分が提供しているサービスの「良さ」を、少しずつ言葉にして伝えようとしています。
でも、やってみると難しい。
頭の中では「こう話そう」とイメージしていて、相手が納得してくれるところまで想像しているのに、実際にはその通りに話せたことはほとんどありません。
途中で言葉に詰まったり、うまく説明できなかったり、後になって「ああ言えばよかった」と思ったり。
そんなことの繰り返しです。
でも、ここで一つ不思議なことがあります。
僕はこれまで、Webサイト制作を通じて、お客様の中に秘めている思いや考えを、言葉やデザインとして表現してきました。
お客様自身が、「うまく説明できないんだけど……」と言っていたことを整理し、その会社やお店らしい言葉にして、Webサイトやデザインに落とし込む。
他人のことはある程度うまく言葉にできるのに、なぜ自分のことはうまく表現できないのだろう。
考えてみると、その理由は意外と単純でした。
他人のことは、何度も聞いて、何度も言葉にして、何度も直している
お客様のWebサイトを制作するとき、僕はかなり多くの質問をします。
なぜその事業を始めたのか。
どんなお客様に来てほしいのか。
何を大切にしているのか。
他社との違いは何なのか。
これからどうなっていきたいのか。
一度聞いただけで分からなければ、別の角度からまた聞きます。
そして、自分なりに解釈して言葉にしてみる。
「こういう意味ですか?」と確認して、違っていれば修正する。
その言葉を実際にWebサイトに載せてみて、また違和感があれば直す。
そうやって、かなり長い時間をかけて何度も何度もやり取りを繰り返しています。
だからこそ、お客様の思いや考えを、ある程度言葉に落とし込めるのだと思います。
では、自分自身の考えや思いに対してはどうでしょうか。
同じように何度も言葉にしているか。
違う表現に書き直しているか。
誰かに話して、違和感があれば修正しているか。
振り返ってみると、ほとんどやっていませんでした。
自分の中にあるから、分かっているつもりになっていただけだったのかもしれません。
自信は、何度も言葉にした先に生まれるのかもしれない
そう考えると、「自信」というものの見え方も少し変わってきます。
自信があるから、うまく話せるのではない。
何度も考えて、何度も言葉にして、何度も修正する。
その積み重ねが、自信を作っていくのではないか。
最近はそんなふうに思っています。
これは、デザインにも似ています。
例えば「こじカフェ」のロゴは、構想から完成まで1年以上かかりました。
もちろん、24時間365日、ずっとロゴのことを考えていたわけではありません。
でも、何度もアイデアを出し、違うと思えばやめて、また考えて、少し時間を置いて見直す。
そうやってできあがった完成版と、最初に出したアイデアを比べると、かなりの差があります。
最初から正解が見えていたわけではありません。
何度も考えて、作って、直したからこそ、最後には「これだ」と思えるものになりました。
店名も最初は「コジカフェ」「喫茶こじま」「小島珈琲店」などいろんな候補がありましたし、書体も完成版では「昭和レトロ」な雰囲気に落ち着きましたが、丸文字、筆文字など多種多様な選択肢の中から決めてきました。
もっと言えば、妻が好きなうさぎや犬が登場しているアイデアは、長期間、ロゴの候補として残っていたんです。
言葉も、きっと同じなのだと思います。
自分のことほど、自分だけでは見えにくい
自社の強みや、自分のサービスの良さを言葉にしようとすると、
「こんなの当たり前だよな」
「別に大したことじゃないよな」
と思ってしまうことがあります。
でも、他人から見ると、その「当たり前」が強みだったりします。
自分自身のことは、近すぎるからこそ見えにくい。
だから、誰かと対話する意味があるのだと思います。
自分の中ではまとまっていなくても、話しているうちに少しずつ言葉になる。
質問されることで、「なぜそう思うんだろう?」と初めて考える。
言葉にしてみたら、「少し違うな」と気づく。
また言い直す。
そうやって少しずつ、自分たちらしい言葉になっていく。
僕が小島喜画でやっていることは、もしかするとその繰り返しなのかもしれません。
小島喜画が、最初に「作らない」理由
Web制作やデザインの相談をいただいたとき、すぐにデザインを始めることはほとんどありません。
まずは話を聞きます。
事業のこと。
お客様のこと。
これまでのこと。
これからのこと。
依頼主が、まだうまく言葉にできていないこと。
その中から、少しずつ「らしさ」を見つけていきます。
そして、言葉にしてみる。
違っていれば直す。
また話を聞く。
その繰り返しです。
だから小島喜画にとって、Webサイトやロゴ、チラシなどのデザインは、最後に見える「形」の部分です。
その前にある、対話して、考えて、言葉にする工程の方が、むしろ大切なのかもしれません。
本人の中にあるものを、外から勝手に作るのではなく、一緒に見つけていく。
「モヤっとしているけど、うまく言葉にできない」
そんな状態から、一緒に考える。
それが小島喜画の仕事のひとつだと思っています。
自分自身にも、同じことをしてみる
今回、自分のことをうまく話せない理由を考えてみて、少しだけ答えが見えた気がします。
僕自身も、クライアントにしていることを、自分に対してやればいい。
何度も問いかける。
何度も言葉にする。
違えば直す。
誰かに伝えてみる。
また考える。
それを繰り返す。
その先に「自分の言葉」が生まれるのだと思います。
そして、自分の言葉を持てるようになれば、営業することも、自己アピールすることも、今までとは少し違って見えるのかなと。
売り込むための言葉ではなく、「自分は誰の役に立てるのか」を伝えるための言葉。
それなら、僕にもできる気がしています。
小島喜画としても、そんな言葉を一緒に見つけられる仕事を、これからもっと増やしていきたいと思っています。
自分たちではまだ気づいていない魅力。
頭の中にはあるけれど、うまく説明できない思い。
それを何度も対話しながら言葉にして、Webやデザインという形にする。
結局、それが今までやってきたことでもあり、これからもっと大切にしていきたいことなんだなと。